街のアパートメント
東京都内の閑静な住宅街に位置する14戸の共同住宅の提案。「モノ」を所有することへの価値から、モノを通じて得られる体験などの「コト」に価値を置くようになってきた現代。このような傾向がシェアリングエコノミーの復旧にもつながり、若い世代を中心にモノや空間、時間などのシェアに対する価値観が柔軟化している。住まいについても、持ち家志向が根強いものの、所有をしないという選択をする世帯も徐々に増え、好きな時に好きな所に住みたいという住いの形態への考え方が変わってきている。こうした背景から、このプロポーザルでは、自由度が低く豊かさが少ない既存の賃貸住宅から、住まいに対して積極的に関わることで、暮らしをつくっていくという住まい手の新しい価値を見出すことが求められた。
そこで、私たちは閑静な周辺住宅地のスケール感を大切にし、さまざまな住まい手が、お互いに程よくつながり、体験を通じて、住まい手・地域・建築が共に成長できる「つながる暮らし」を提案。
防犯性やプライバシーを重視した結果、多くの住宅は街に対して生活感のない閉鎖的な様相を表している。かつてどの家にもあった「応接間」や「土間」は、地域とつながりを持つことのできる住宅内の公共空間ではなかっただろうか。それらが姿を消してしまった現代の住宅は、公共空間としての性格が全くないのではないか。共同住宅のフレキシブルな空間として「応接間」と「土間」を再解釈し、プライベートな閉じた暮らしではなく、生活範囲を屋外にも広げられ、地域で共有する住宅内の公共空間を作りだすことで、住宅の自由度を広げられるのではないかと考えている。
計画地:東京都杉並区 |
構造・規模:木造・2階建て |
用途:共同住宅 |
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受賞: |
・プロポーザルコンペ最終候補 |