HARVEY FUKIAGE

この建物は名古屋市昭和区に位置し、街道沿いに建つRC造地上5階建てのオフィスビルである。

1-3階はテナントを想定し、天井高3.3mのワンルームで、テナント独自の空間設計を可能にするフレキシブルな空間。床、壁、天井はそのまま仕上として利用可能な、コンクリート打放の荒々しいスケルトンではあるが、様々なニーズに対応できる配管ルートと設備スペースを想定している。ITコンサルティングやクラウドコンピューティング等の事業を行う本社が入る4、5階は、執務スペース等のインフィルデザインも提案。グレーを基調としたシンプルな外観同様、内装や家具は色彩トーンを抑え、照明は色温度の低い温かみのあるものを採用し、リニアな空間を活かした計画とした。

おもての街道は、江戸時代の文献にすでに描かれており、今日までに人とモノの往来がどれだけあったかは計り知れない。時代と共に開発が進む名古屋市内の他のエリアと同様、周辺にはビルやマンションを多く見にする。それでもこの街道沿いを歩くと、時代を思わせるような、格子がはまり黒い瓦屋根がのる平入の小さな建物と出会うことができる。街道沿いのまちなみを意識しつつ、5階建ての現代的なオフィスビルとして違和感のないファサードを求めた結果、各フロアを繋ぐ縦格子が内外を柔らかく繋げる特徴的な佇まいをデザインし、街道の新たな道しるべとなることを期待した。

所在地:愛知県名古屋市
構造・規模:RC造・5階建て
用途:事務所
竣工:2021年
写真:ToLoLo studio