Kent house plus

大阪市にあるパティスリー「Kent house plus」の改修工事。4階建既存店舗の2階部分に、厨房を拡張し、客席をリニューアルした。拡張した厨房の一部は、商品開発にも利用するため、厨房1と独立した配置とした。厨房と客席を間仕切る2枚の壁には、提供される艶やかなケーキから着想し、光沢感のあるイタリアン漆喰壁を採用している。ブランドカラーであるブルーを採用した漆喰壁に、真鍮製のラインをあしらい、カウンターテーブル、厨房小窓、デシャップ、トイレへの入口の高さから導き出した4段構成の壁としている。それぞれの開口枠とラインを、10mm見付の細い真鍮で統一し、イタリアン漆喰の風合いに繊細さと緊張感を加えている。

また、縮小された客席部分は、象徴的な旧店舗の楕円形階段手すりを有効に利用し、カウンター席へ作り変ることで、カジュアルにイートインできるスペースとした。隣同士が少し内側に向き合い、緩やかに関係を生み、会話のしやすいレイアウトとなっている。既設の一面窓からは今里筋の街並を見通すことができ、光と街の活気を感じることができる。そして、イタリアン漆喰壁の小窓からは、パティシエの繊細な作業風景も見ることができる。

2枚の壁と楕円形のカウンター席により、意識しすぎず、程よくつながる「厨房と客席」の関係を築き、おおらかでまとまりのある空間になっている。

左:改修前    右:改修後
アイソメ
所在地:大阪府大阪市
構造・規模:RC造・4階建て (改修)
用途:店舗
竣工:2018年
写真:谷川ヒロシ
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掲載:
DESIGNER’S FILE 2022
TECTURE
TECTURE MAG